ヒザ Knee

最も複雑な構造を持ち、動きの支点となるヒザ。

ヒザは、人間の体のなかでも最も複雑で不安定な構造を持っています。
しかも、様々なスポーツをする上で動きの支点として機能するため、負担がかかりやすく損傷が起こりがちな部位です。

Anatomy of Knee - ヒザの機能と解剖

ヒザの機能と解剖 ヒザの機能と解剖

Sports Injury of Knee - ヒザのスポーツ傷害

Q&A - 過去に寄せられたご質問への鉄人の回答

*現在はご質問は受け付けておりません。

ヒザに関するQ&A

ヘッドスライディングをして膝を痛めてしまいました・・・

相談があり、メールしました。 野球の試合中にヘッドスライディングをして膝を痛めてしまいました。整形外科に行ったのですが、後十字靭帯損傷と診断されました(MRIの写真も撮りました)。手術は難しいので足の筋肉をつけるしかないといわれました。どのようなトレーニングをしたらいいでしょうか?ご指導宜しくお願いします。
(34才、男性)

後十字靭帯損傷後の筋力トレーニングは、大腿四頭筋を鍛えることがポイントです。理由は、筋の走行から、後十字靭帯と同じはたらき(脛骨が大腿骨に対して落ち込むのを防ぐ)が期待できるからです。筋がはたらく動作は、膝を伸ばす動きが代表的です。


代表的なトレーニング方法を以下にあげます。

◇レッグエクステンション(体重をかけない方法)
トレーニングマシンを使用します。膝を曲げた位置から伸ばしていきます。伸ばした状態で3~4秒維持して、もどす動作を8~10秒かけておこなうと効果的です。10回ぐらいできる重量で2~3セット行います。

◇空気イス(体重をかける方法)
イスに座るようにして、壁などに背中をつけて股・膝を90度ぐらい曲げます。その状態を、30~60秒維持します。2~3セット行います。両足で行いますが、慣れてきたら片足で行うのも効果的です。

◇スクワット(体重をかける方法)
立位から、股・膝を曲げてしゃがむ動作を繰り返します。この際、背中が丸まらないようにします。大腿部が床と並行ぐらいになるまで、しゃがみます。バーベルなどの重量をかつぐときは、10回ぐらいできる重量で2~3セット行います。かつがないときは、回数を多くします。回数は、20回×5セットや50回×2セットなど合計100回を目安に行います。初心者の場合、フォームをつくる必要があるため、指導を受けることをお薦めします。

また、野球に復帰する際には、再発予防でザムストのサポーターをお薦めします。その際、ザムストに限らず、市販されているものでは後十字靭帯用のサポーターはないと思いますので、側副靭帯用のサポーターを使用すると良いかと思います。ザムストでは「ZK-3」が良いと思います。サポーター本体の圧迫機能と左右のステーによる動揺抑制の機能で、ヒザの安定が期待できます。また、「ZK-7」など、前十字靭帯用のサポーターを使用すると、下腿の落ち込みを促進する恐れがあるので、使用しないようにして下さい。
(スポーツの鉄人;高橋 仁)

前十字靱帯断裂と、半月板も内側の方が損傷という診断をされました・・・

昨日、MRI検査で、前十字靱帯断裂と、半月板も内側の方が損傷という診断をされました。 8年前スキーで転倒した話をしたところ、多分その時でしょう、ということです。5年前からエアロビクスを始め、4年前に一度膝崩れをおこし、水がたまって、抜いてもらったところ、一筋くらいの血が混じっておりました。8年前も4年前もレントゲンのみの検査しかしておりませんので、今回初めて断裂を知りました。4年前のケガ以降、昨秋までエアロビクスを続けておりましたが、特に異常はありませんでした。昨秋、2回続けて膝崩れをおこしたので、ここ3ヶ月あまりはエアロビクスを休んでいます。痛みは膝崩れの後、程なくとれ、腫れは最初からありません。現在は膝に多少の不安定感を感じる程度です。ただ、1月末に早足で歩いている時、膝のつっぱりを感じ、2日間ほど痛みました。日常生活の中では、その1回だけですが・・・。
筋肉もだいぶ落ちましたが、この1ヶ月、水中walkingとアクアビクス、機械での筋トレにより、また筋肉がついてきて、その為か膝の不安定感も以前より少なくなった気がします。
今回の医者からは、スタジオでステップを踏むような運動はもう止めた方がいいと言われました。 私としては、エアロビクスは生きがいになっているので、一番軽いプログラムでも細々と続けたいのです。前十字靱帯の手術も今は受けたくない気持ちです。
お忙しいところ恐縮ですが、お見立ていただけますでしょうか? 今の状況で可能な運動、また、筋力維持の為、やはりトレーニングをやった方がいいのか逆にあまりやらない方がいいのかについても、お教えいただけますか? どうぞ、よろしくお願いいたします。
(48才、女性)

4年前の膝崩れを起こされたときには、何をされていたのでしょうか?エアロビクス中ですか?それとも日常生活の中?どちらにしても、4年前に前十字靭帯を断裂したのではなさそうな気がしますが、もしも8年前からその状態のままで様々な活動を続けておられたのはすごい事だと思います。
と言っても、靭帯損傷は、単独であれば保存的な処置がとられることも少なくありません。もしも、2本以上の靭帯が断裂していると、たいていの場合、手術が適用されます。確かに8年前だとMRIがある病院は少なかったと思いますが、前十字靭帯が断裂していると「前方引き出しテスト」が陽性だったのではないかと思うのですが・・・。


さて、今回の件ですが、やっぱり問題なのは傷んでいる半月板とその周囲の軟骨の状態だと思います。傷ついて滑らかでない半月板が関節内にある状態で、体重をかけたまま回旋すると、関節が引っ掛かったり、軟骨が傷んだりする危険性があるからです。また、関節が不安定な状態で激しく動くと、周りの軟部組織にストレスを与え、それが原因で痛みや腫れ(炎症)が起きる事もあり得ると思います。

ただ、アクアビクスやマシントレーニングで筋肉がつくようですから、強い炎症や慢性的な腫脹はないのではないかと想像します。実は、関節内に腫れがあると筋肉の肥大はほとんど望めないのです。ですから、関節がしっかり安定するように筋肉をつけるプログラムを実施可能だと判断できます。もう二度と、膝崩れを起こさないための第1のアドバイスは、この筋肉をつけることです。

そしてエアロビクスの件ですが、しばらくは膝に回旋力が加わらないステップを中心にしていただいて、筋力の回復にあわせて少しずつレベルアップをされたらいかがでしょうか?初期の段階では、関節内の回旋運動を制限することが、膝崩れを起こさないための2つ目のアドバイスです。

そして十分なアフターケアをして疲労を残さないこと、決して無理はしないこと、腫れが出そうだと感じたらアイシングなどをして炎症を抑えることなど、手術をした人と同じような「ケア」をして下さい。

さらにもう一つアドバイスとして、栄養の摂取にも気を使って下さい。筋肉はもちろん軟骨や半月板にも栄養は必要です。ビタミンやミネラルなどの補給をしながら、大好きなエアロビクスを続けられるように自己管理をして下さいね。
(スポーツの鉄人;岩崎 由純)

部員の1人が、前十字靭帯を損傷してしまいました・・・

自分は高校でバスケ部に所属していて、今高2で、残りの期間がもう3、4ヶ月となってしまいました。そんな中、部員の1人が、前十字靭帯を損傷してしまい、検査の結果、3ヶ月松葉杖で、全治1年と言われてしまい、引退を考えてしまっています。本当にそこまで時間がかかってしまうのでしょうか?何か良い方法で早期回復は出来ないのでしょうか?
(17才、男性)

前十字靭帯の損傷は、スポーツの中ではかなり大きなケガの一つです。もしも内側側副靭帯も同時に切れていたら、手術が適用されます。前十字靭帯だけの単独損傷の場合には、膝の関節を支える筋肉のリハビリテーションをしっかり行い、関節を支える支持機構の回復を待ってから復帰する保存療法を選択することもあります。


手術をした場合でも、前十字靭帯の再建をすると、半年から1年はかけて復帰するように指導されています。極端に早めると再発の危険性があるからです。

そのチームメイトの1人がどうしても納得できない場合には、他のスポーツドクターにも相談してみて下さい。文字だけの情報では、中々これ以上のアドバイスができないので、第2、第3の意見を求めて受診することをお勧めします。

バレーボールの選手の中には、保存療法を選択した後、積極的に大腿四頭筋のリハビリを行い、スポーツ用の装具を装着し、数ヵ月後にはプレーを再開すると言うケースがよくあります。しかし、そのような際には、必ずドクターの指示の下、理学療法士の先生によるリハビリをし、更に専門の装具(ブレイス)を作っての復帰となります。もちろん、このパターンができるかどうかも、受傷の内容や回復の程度によって違いますので要注意です。何度も繰り返してしまいますが、スポーツ専門のドクターに直接診てもらって相談して下さいね。お大事に!
(スポーツの鉄人;岩崎 由純)

半月板損傷のリハビリについて教えて下さい・・・

半月板損傷のリハビリについて教えて下さい。
(24才、男性)

手術をしない場合のリハビリテーション(以下リハビリ)のポイントをお答えします。


リハビリの順番は、非荷重位(膝に体重をかけない:座位)から荷重位(膝に体重をかける:立位)に進めていきます。また、早い時期から膝をねじる動作や深く曲げる動作は行わないようにします。
これらは、半月板を保護するうえで重要です。
症状が強いときや受傷直後は非荷重位でおこないます。その後、症状の緩和や時間の経過に応じて荷重位にしていきます。
内容は筋力トレーニングが中心となります。リハビリの具体例は「鉄人」ホームページの「半月板損傷」(トレーナー編)をご覧ください。
また、リハビリは、常に整形外科医や理学療法士と相談のうえ行ってください。
(スポーツの鉄人;高橋 仁)

ケガの名前は何なのか?現状、復帰できる状態なのか?サッパリ分かりません・・・

月に1~3回のフットサルが唯一の趣味の30歳サラリーマンです。1月末、特に準備運動をする事なくフットサルをした所、バックステップで急いで戻り中、急に右方向へ直角に曲がろうとした際に左ヒザを捻ったような感じになり、激痛とともに力が入らず転倒。近所の整形外科に見てもらった所、シップを渡され帰宅。1週間後に痛みがひいたので、トレーニングでダッシュ&サイドステップをした際、またもや同じ箇所に激痛が走り転倒・・・。
慌てて他の整形外科を紹介してもらい、そこでMRI検査を受けました。診断結果は前十字靭帯不完全断裂。手術をする前提で2~3度通院し、2月末、3度目に来院した所、「しばらく様子を見て、4月末くらいからスポーツに復帰してみましょう」と一転して言われました(?)。確かに日常生活では痛みはほとんど無いですが、正座や深い屈伸運動をしようとすると、まだ痛みが起こり、どうしていいか分かりません・・・。
整形外科には5月末にまた来るようにと言われましたが、一刻も早く復帰したいので、すがる思いで今は整骨院に通ってみたりしています。
果たしてケガの名前は何なのか?現状、復帰できる状態なのか?サッパリ分かりません。復帰しろと言われても怖さが残っており、復帰するのが考えられません。いったいどうしたらいいのでしょうか?またヒザ・サポーターをつければ出来るようならオススメを教えて下さい。以上、宜しくお願いいたします。
(30才、男性)

私も学生時代にサッカーをしておりまして、後十字靭帯を損傷し、手術を受けました。その頃はまだギプス固定の期間も長く、リハビリのことなども詳しく知りませんでしたので、競技復帰までに1年かかりました。その間、精神的にとても辛い時期が続きましたが、なんとか、乗り越えて復帰し、レギュラーに戻ることができました。
さて、ケガについてですが、とても信用性の高いMRI検査による診断ですので、前十字靭帯損傷は間違いないと思います。治療方法は受傷の程度、医師の方針や患者の生活環境、スポーツのレベルなどによって異なります。おそらく受診した医師がケガの経過やその他の要因により、そのように判断されたのだと思います。


ケガやリハビリテーションについては、「鉄人」ホームページの「前十字靭帯損傷」(メディカル編)の中に説明がありますので、そちらをご覧いただいたほうが分かりやすいと思います。

今はサッカーをやっていますか?フットサルの場合、体育館や人工芝など、靴と床のグリップが良すぎるので、関節に負担がかかりやすくなります。いきなり復帰するのではなく、ジムなどにある固定式自転車でトレーニングをしたり、ケガをしていない側の脚の筋力トレーニングをしたりして、徐々に行うようにしてみてください。
また、スポーツに復帰する段階では、テーピングやサポーターを用いて、再受傷しないように注意してください。
いきなり激しいスポーツは行わないようにしましょう。このあたりも上記のホームページに掲載されています。
(スポーツの鉄人;中島 靖弘)

ジャンパーズニーのスペシャルケア

高校でバスケットボールをしています。ジャンパーズニーなので、いつも大腿部前面のストレッチングを行っています。しかし、練習が厳しくなってくると、ふだんのストレッチングだけでは効果がありません。自分でできるよい方法を教えてください。

ジャンパーズニーは膝のお皿の下が痛むスポーツ障害です。別名、膝蓋腱炎〈しつがいけんえん〉ともいいます。強化合宿などで練習量が増えた場合、ふだん行っているケアだけではまかなえない場合があります。今回は、ふだん行っているストレッチングにプラスする、ケアの方法を紹介します。
その前にまず、ジャンパーズニーで重要な大腿部前面のストレッチングについてポイントを確認しておきます。


2パターンのストレッチング

大腿四頭筋は、膝関節に作用する内側広筋・外側広筋・中間広筋と、膝関節及び股関節に作用する大腿直筋とに分類できます。それぞれストレッチングの方法も違います。必ず両方の筋肉をストレッチングするようにしてください。
特に大腿直筋は、股関節が屈曲しているとストレッチングできません。大腿直筋のストレッチングを行うときには、股関節伸展位を保ったままで膝関節屈曲をする必要があります(イラスト参照)。


アイシングとの組み合わせ

ストレッチングとアイシングを組み合わせて行うと有効です。
方法は、初めに大腿四頭筋に対してアイシングを行います。大腿四頭筋全体をアイシングするのがポイントです。複数あるいは大きめのアイスパックを用いるか、もしくは大腿部前面をまんべんなくアイスマッサージするとよいでしょう。感覚がなくなったら、ストレッチングを2パターン行います。
アイシングをすることにより、筋肉の過度な緊張がとれます。そうすることでストレッチングを効果的に行うことができます。


低周波治療器との組み合わせ

家庭用の低周波治療器もストレッチングと組み合わせると有効です(低周波治療器は必ず使用上の注意書きをよく読んで使用してください)。低周波治療器で筋肉を動かすことにより、筋肉内の血液循環を促し、疲労物質を取り除きます。また、マッサージ効果もあるので、筋肉をリラックスさせることになります。
ポイントは、心地よく筋肉が動くように刺激量を調節することです。パッドは、内側広筋部と大腿直筋中央部付近につけるとよいでしょう(写真)。15分ほど使用したのち、2パターンのストレッチングを行います。


用い方の実際

練習直後には、アイシングとストレッチングを組み合わせて行います。そして入浴後に、低周波治療器とストレッチングを組み合わせて行うとよいでしょう。そのほか、セルフマッサージやペアストレッチングなども有効です。また、大腿四頭筋のアイシングとストレッチングの組み合わせは、練習前にも有効です。ぜひ試してみてください。

膝十字靱帯損傷からの回復

スキースクールのインストラクターです。エア台を跳んだあとの着地に失敗して膝前十字靱帯を損傷しました。インストラクターとして生計を立てていきたいので、それにあったレベルの回復を望んでいます。

前十字靱帯損傷とスキーという組み合わせは大変難しい内容です。スキー競技は膝関節の障害が最も起こりやすいスポーツであり、また競技では膝関節の安定性が望まれます。特に前十字靱帯の機能が重要です。前十字靱帯は、膝関節の下腿前方移動と、下腿の内旋動揺性とを制御しています。特にピボット動作時に機能します。質問者の状況がわかりにくいのですが、新鮮例(受傷直後)ではないと仮定してお答えします。


トレーニング中のチェック項目

まず、膝の状態をチェックしましょう。

1、日常生活で膝がガクッとする膝崩れ現象がないか
2、ランニングが可能か
3、階段昇降が可能か
4、両足ジャンプが可能か
5、ダッシュが可能か
6、片足ジャンプが可能か

を判断してください。
運動やスキー中に膝崩れは起こっていませんか?もしも膝崩れが起こる場合は、半月板損傷との合併、もしくは関節軟骨損傷との合併の危険性があるので、手術治療を前提に膝の再検査を受けてください。


トレーニング内容

トレーニングは、

1、SLR、水中歩行、バタ足、クロール、平泳ぎ、エアロバイクなど、体重負荷が少ないものから始めます。
2、以上で膝痛や腫れがないことが確認できたら、ランニング、両足踏み切りジャンプ、マシンではレッグエクステンション、レッグカール、下肢の協調運動(股関節屈曲、膝関節屈曲、足関節背屈→股関節伸展、膝関節伸展→足関節底屈)など、膝関節への負担のかかる動作を次第に練習します。
3、最後にハーフスクワット、バランスボード(不安定板)、スライディング(スケーティング)、カーフレイズ、トランポリンなどを用いて、膝周辺のバランス感覚を再教育します。
4、以上で問題がなければ、活動性の高いスポーツを徐々に行ってください。それぞれ月単位でのトレーニング期間を要します。


保存的療法か観血的療法か

本症では、ハイレベルのスポーツ活動を維持する場合、原則的には前十字靱帯再建手術が必要です。保存的に経過を観察する場合には、前十字靱帯の機能は回復しないこと、それ以外の膝周辺の筋力維持、強化、競技パフォーマンスの向上を目的としていることをご理解ください。