鉄人に聞け!半月板損傷

症例解説Body & injury

Knee

半月板損傷Meniscus tear

  • 原因や治し方(医療編)
  • 予防や対処法(トレーナー編)
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はじめに

半月板は膝内部の内側(内側半月板:写真1)と外側(外側半月板)に1枚ずつあります。大腿骨と脛骨からなる関節面に介在して膝の動きをスムーズにしたり、膝関節の動き(屈曲・伸展、内旋・外旋)に際して膝関節を安定させたりするとともに、ジャンプなどの衝撃を分散させるクッション的な役割(衝撃吸収)を果たしています。この半月板が、スポーツ活動などによって膝をひねったときにストレスでこすれて損傷(断裂)することがあります。半月板を損傷すると膝関節の疼痛や運動制限が発生します。

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好発種目

バスケットボール、バレーボール、体操、サッカー、テニス、野球、スキーなどのスポーツで発生頻度が高いものです。


受傷原因

 膝をひねるようなあらゆる場面で起こりますが、ほとんどはスポーツ活動中に発生しています。ジャンプ着地などに際して膝関節が屈曲しつつ回旋(ひねり)が加わると、水平方向のストレスが加わります。そのストレスによって半月板を部分的もしくは全体的に損傷(断裂)します。例えば、片足で床を滑ったとき、横から膝にタックルされたとき、ジャンプ着地時に膝が外反屈曲してひねりが加わったとき、などに発生します。水泳の平泳ぎでも起こります。平泳ぎで起こるのは膝に繰り返しのひねりの力が加わるためであり、ランニングなどの単純な動作でも徐々に半月板が摩耗して起こります。


合併症

半月板を単独で損傷するよりもむしろ、前十字靱帯や内側側副靱帯の損傷を併発しやすく(約6割)、関節軟骨の損傷を伴うこともあり、注意を要します。また逆に、前十字靱帯単独損傷の後遺症で膝に緩みが生じ、それが誘因となって半月板を損傷するケースも多く見られます。


急性症状

急性症状、つまり“ガツン”と1回の急激なストレスによって受傷したばかりのときは、疼痛が主症状であり、いわゆる奥歯に物が挟まったような痛みや、膝を伸ばすときに一瞬引っかかるような違和感(キャッチング)が常にあります。断裂部位が大きく、関節内に半月板の一部が嵌入〈かんにゅう〉(はまる)したケースでは、関節がある角度から伸展できない状態(ロッキング症状)となり、激痛及び可動域制限が起こり、歩行ができなくなるケースもあります(写真2)。半月板の損傷部位に一致して膝関節部に圧痛及び運動時痛があります。膝関節を屈曲―伸展しひねりを加える手技(McMurray test)で痛みを生じます。内側半月板損傷のほうが、外側半月板損傷より5倍も多く発生しています。

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慢性症状

慢性化すると関節炎が起こります。膝関節に水や血がたまる水腫や血腫を合併します。さらに長期化すると、患側を無意識でかばうために大腿四頭筋が萎縮してきます。さらにひどくなると、断裂した半月板がめくれて大腿骨や脛骨の関節の軟骨を傷つけ、骨を変形させる(変形性膝関節症)原因にもなります。


診断

膝関節に上記の症状が発生したら、まず整形外科専門医を受診し、傷害の内容や程度を把握すべきです。半月板はレントゲンに写りません。診断はMRI検査が有用です(写真3)。以前は、関節造影(影絵のように映し出す)が主流でしたが、MRI検査であれば、人体に無害で侵襲(検査の痛み)もなく、診断率も90%以上と非常に高いので、最近では関節造影を行うことは少なくなってきました。最終的には、関節鏡検査(関節鏡を小切開で膝関節へ挿入し、半月板や靱帯、関節軟骨など関節内の状態を、テレビ画面に映し出された映像から肉眼で観察)を行って確定診断を下します。

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治療

多くは保存的治療で症状が軽快します。軽症であれば、装具やテーピングなどの補助補強、疼痛軽減目的でのリハビリテーションを行います。初期には局所の安静、関節穿刺〈せんし〉による関節液の吸引、局所麻酔剤やステロイド剤(消炎効果)の注入、最近ではヒアルロン酸注射(トピックス参照)を行います。また、筋萎縮予防や疼痛の軽減を目的として、大腿四頭筋、膝関節周囲の物理療法(低周波や干渉波による電気刺激)も実施します。


手術

ロッキング症状、もしくは繰り返しの半月板損傷、持続する疼痛、しつこい水腫(膝に水がたまる)などがある場合に手術を行います(写真4)。最近では関節鏡視下(内視鏡)で半月板を切除したり、半月板辺縁部の断裂例では縫合術を行ったりします。半月板は血管分布が乏しいため、縫ってもくっつかないままの状態がほとんどです。手術して治るというのは厳密には正確ではなく、今の問題を軽減して、リハビリテーションなどを行ってうまくつきあっていく方法を見つけていきます。術後2〜3週目より活動的なリハビリテーションを開始しますが、術後2ヵ月くらいは激しい運動は避けるべきです。スポーツの完全復帰は可能です。


トピックス:ヒアルロン酸とは

最近、半月板損傷後にヒアルロン酸ナトリウム(多糖体、商品名アルツ、スベニールなど)を関節内に注入する保存療法が行われ効果的とされています。膝関節軟骨の成分でもあるヒアルロン酸(ドロッとしている)は、水分の保有率が高く、関節軟骨や半月板が傷ついたとき、関節の潤滑油やクッションの代わりになり、動きをよくするからです。ひいては関節の痛みや腫れの軽減にも効果があるようです。本来は高齢者の変形性膝関節症の治療用として開発されたものですが、最近ではスポーツ選手にも用いられるようになりつつあります。ただし、ヒアルロン酸を注射しても軟骨が再生するわけではありません。時間とともに吸収・消失しますので、1回の効果時間は数日です。研究段階では軟骨細胞の免疫機能調節能も挙げられ、医療面ではヒアルロン酸は肩関節周囲炎や美容外科でのしわ取り、眼科の白内障手術にも活用されています。市販のサプリメントなど、お肌のスベスベを保つ(?)目的でも販売されています。

はじめに

 今回は慢性的な半月板損傷をもつ選手のコンディショニングについて説明します。
 ドクター編でも触れていますが、慢性例の特徴として、大腿四頭筋の萎縮がしばしば見られます。筋萎縮があると、患部の痛みだけでなく、筋力低下を原因とする膝痛や関節水腫などが現れ、それらがまた筋萎縮の原因となり悪循環に陥ってしまいます。
 また、膝関節周囲筋の筋力もアンバランスになるため、膝関節の安定性の低下も起こります。さらには患側をかばうことにより、無意識に健側に荷重が偏り、健側に二次的な問題が起こる場合も考えられます。したがって、日常のコンディショニングは、大腿四頭筋を中心とした筋力強化が重要です。以下に、筋力トレーニング時のポイントを挙げます。


内側広筋のトレーニング

大腿四頭筋のなかでも内側広筋の強化が重要です。伸展位で数秒その位置を保持する方法(写真A(1))や、伸展動作をやや外旋する方法(写真A(2))で行います。

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フォームのチェック

側で支持するような動作やスクワットでしゃがみ込んでくる際など、トレーニング動作のなかで膝関節の位置がブレないようにします(写真B)。特に、手術で半月板を切除した場合は関節面の安定が損なわれ、内反または外反の動き(左右のブレ)が強くなる傾向があるので注意が必要です。フォームは、選手自身が鏡を見てチェックすると効果的です。

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荷重バランスのチェック

患側をかばうため、無意識に健側に荷重が偏る場合があります。このような荷重のアンバランスは、バランスディスク(ボード)に乗ってスクワットを行うことによって修正できます(写真C)。また、このトレーニングは膝関節の安定を向上させる目的でも行います。

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動作を組み合わせたトレーニング

スクワットを行う際に、股関節の外転や内転動作を組み合わせます。このような、複合的な筋力発揮は膝関節の安定やスクワットのフォームづくりに有効です(写真D)。外転は大腿部にチューブを巻いて(写真E)、また内転は大腿部にボールをはさんで行います(写真F)。

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筋力トレーニング

患部の状態に応じて、非荷重位と荷重位とに分けて行います。痛みや筋力低下(筋萎縮)がある場合は、非荷重位から始めます。

痛みを感じたり、故障が発生したら、すぐに医師の診察を受けることをおすすめします。

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