鉄人に聞け!恥骨結合炎 別名:鼠径周辺部痛症候群

症例解説Body & injury

Hip股関節周辺

恥骨結合炎 別名:鼠径周辺部痛症候群Osteitis pubis/Groin pain syndrome

  • 原因や治し方(医療編)
  • 予防や対処法(トレーナー編)
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はじめに

恥骨は骨盤の一部であり、恥骨結合は左右2つの恥骨が軟骨円板にて結合して体幹の前面、正中に存在しています。ここには上恥骨靱帯、恥骨弓靱帯、内転筋、腹直筋、薄筋など、数多くの筋腱が付着しています。
恥骨結合炎とは、左右両サイドの恥骨を結合する軟骨円板の運動ストレスによる炎症であり、スポーツによって発生することが多い障害です。しかし、実際には鼠径部周辺には多様な原因で発生する各種の痛みがあり、本当の原因を特定しにくいため鼠径周辺部痛症候群(Groin pain syndrome、図)と述べたほうがよいと思われます1)。類縁障害に大腿内転筋付着部炎、大腿直筋炎、腹直筋付着部炎、腸腰筋炎、鼠径ヘルニア(スポーツヘルニア)などが挙げられます。

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受傷原因

タックルなどで直接恥骨部に打撲を受けた場合のほか、ランニングやキック動作などの繰り返しの運動によって、恥骨結合周辺や股関節、骨盤、鼠径部にメカニカルなストレスが加わって炎症が生じ、痛みとなります。


レントゲン所見

典型例では薄筋、内転筋の恥骨付着部に骨融解像(とける)や、左右恥骨の高さの違い、結合部の変形などが生じます(写真)。CTでも確認できます。ただし、骨まで変化が及ぶ場合は比較的少ないといえます。

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症状

恥骨前面、内転筋に一致した運動痛、圧痛、時に鼠径部や大腿内側、腹部にまで放散する疼痛が特有です。慢性化すると鼠径部が常に痛みます。特に下肢を伸展して挙上、外転する動作で誘発されやすく、股関節の可動域制限、筋力低下が見られます。


好発スポーツ

サッカーが大半を占め、陸上競技中・長距離、ラグビー、ホッケー、ウェイトリフティングなどで20歳前後の男子選手に多く発生します。


鑑別疾患

恥骨疲労骨折は、鼠径部の疼痛を主として、バスケットボールやテニスに多く発生します。ハムストリングス損傷による臀部痛、大腿外側痛中心の腸脛靱帯炎、臀筋炎などがあります。


治療

急性期例や発症後半年以内例では、保存療法が第1選択です。疼痛が強い場合は、約2週間のスポーツ休止が必要です。疼痛部位の局所安静(ランニング、キック禁止)、アイシング、時に温熱療法(ホットパック)、消炎鎮痛剤投与、ステロイドホルモンの局所注射(多用否)などが用いられますが、長期的には運動療法が奏功します。
初期のリハビリテーションは股関節の外転可動域訓練、筋力強化、内転筋のストレッチングから開始して水中歩行、エアロバイクによる免荷訓練、その後ジョギング、2ヵ月でボールキック練習を行います。疼痛が消失したからといって、いたずらな早期復帰はかえって再発を繰り返します。慢性化すると長期間(2~3ヵ月以上)スポーツ休止を余儀なくされるので注意を要します。


手術

保存療法に抵抗して長期間疼痛が消失しない場合は、手術治療が考慮されます。しかしさまざまな方法があり、薄筋腱切離、骨片摘出術、恥骨結合の固定術、内転筋内の血腫除去、ヘルニア修復術など、主病変を特定して原因に対処していきます。適応は各国さまざまです。数年前にゴンこと中山選手(ジュビロ磐田)がドイツで手術治療を受けて、復帰している例もあります(詳細不明)。

参考文献:1)仁賀定雄:『Groin pain syndrome』

ストレッチング

トレーナー編では、恥骨結合炎も含めた鼠径部周辺にさまざまな痛みが出る、鼠径周辺部痛症候群(Groin pain syndrome)の予防法(コンディションニング)について説明します。
鼠径周辺部痛症候群と考えられる選手の特徴としては、股関節周囲筋の柔軟性の低下が挙げられます。なかでも重要なのは、股関節内転筋群の柔軟性を保つことです。今回は、股関節周囲の内転筋、伸筋(ハムストリングス)、屈筋(大腿直筋、腸腰筋)、などのストレッチングを紹介します。
ストレッチングは静的に10~20秒行います。


内転筋

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伸筋(ハムストリング)

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屈筋(腸腰筋と大腿長筋)

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痛みを感じたり、故障が発生したら、すぐに医師の診察を受けることをおすすめします。

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