鉄人に聞け!オスグッド病

症例解説Body & injury

Knee

オスグッド病Osgood disease

  • 原因や治し方(医療編)
  • 予防や対処法(トレーナー編)
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疾患の概念

オスグッド病はオーバーユースによる成長期のスポーツ障害の代表疾患で、古くから報告されています。成長期は急激に身長が増加しますので骨も急成長を遂げますが、残念ながら筋や腱などの軟部組織は同様には成長しません。よって、相対的に硬い身体になってしまう時期でもあります。そのために生じる大腿四頭筋の柔軟性低下(いわゆる筋肉が硬い)を契機に、ジャンプやダッシュなどの繰り返しの動作による牽引力が脛骨結節部に加わります。成長期の脛骨結節部には骨が成長するために必要な骨端核が存在していますが、大腿四頭筋による強大な牽引力が負担となり、骨端核の発育が阻害されます。これがオスグッド病です。


解剖

大腿部前面にある膝関節伸展機構は、(1)大腿四頭筋が膝蓋骨上端に付着し、(2)膝蓋骨を介して、(3)膝蓋骨下端から膝蓋靱帯を経緯し、(4)脛骨結節部に付着して停止します。  このように、大腿四頭筋の筋力は最終的には脛骨結節部に伝わります。脛骨結節部は1.5×2.0くらいの大きさしかないため、大腿四頭筋の牽引力によって骨端核の発育が阻害され、遊離しやすく脆弱な構造となっています。


症状

スポーツ動作全般で発生しますが、特にジャンプ動作での膝屈伸時や、ダッシュやキック動作で起こりやすく、膝蓋骨下方にある脛骨結節部に限局した疼痛と強い圧痛が主症状です。局所の熱感や腫張、骨性の隆起(写真1)が認められます。時に両側に発生します。  ジャンプ時の疼痛が原因でジャンプ力が低下したり、ダッシュ時の疼痛でタイムが低下したりするなど、スポーツ能力の低下に直結しますが、急性外傷(突発的ケガ)ではないためにスポーツ休止の判断が難しく、現場では疼痛を抱えながらもスポーツ活動を継続している例を散見します。

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検査

レントゲン検査が最も有用で、脛骨結節部に限局した骨端核の変化や遊離骨片を認めますが(写真2)、成長段階によって大きさは異なります。MRIはさらに有用で、骨軟骨を覆う膝蓋腱の肥厚や周囲の炎症性変化が確認できます(写真3)。

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性差

 大半が10〜16歳の男子。


好発スポーツ

陸上競技、サッカー、バレーボール、バスケットボール、バドミントン、動作ではジャンプ、ダッシュ、キック、フルスクワットなどで好発します。“うさぎ跳び”がトレーニング界で死語となった背景には、本症の発生率が高かったことがあると思われます。


類縁疾患

ジャンパー膝(膝蓋骨上下に発生し、年齢は少し上)。


治療

応急処置はアイシングが最も有効です。疼痛には消炎鎮痛薬(外用内服)や(極)超音波、低周波などの物理療法なども効果がみられます。予防には大腿四頭筋のストレッチングが不可欠で、オスグッド用の膝サポーターも有用です。まれに骨片摘出術やドリリング術(でっぱった骨に穴を開けて出血させ、リフレッシュさせる。骨穿孔術ともいう)を行います。


治療法

症状が改善してもストレッチングは継続しましょう。


予後

成長期が過ぎると骨も固まりますので、症状はいったん軽快します。ただし、成人になって運動による強い力が再び加わると(オーバーユース)、異常骨形成部に疼痛が発生することがあり、いわるオスグッド後遺症と呼ばれる症状がみられます。

自経例

私はサッカーを始めて毎日トレーニングをしていた時期に、オスグッド病に悩んでいました。それは小学校4年生から6年生にかけて毎年身長が10cmずつ伸び続けた時期でもあります。脛骨粗面に痛みを感じたのは小学校5年生のときで、治療として定期的に注射を受けていました。
 一番印象に残っている痛みは注射を受けるときのもので、かなり強い痛みだったことを覚えています。また、ポジションがゴールキーパーでしたので、混戦で相手と接触したり、ボールをセーブするために地面に膝をぶつけたりしたときなどは、相手に蹴られたような痛みを感じていました。
 そのころはストレッチングを毎日行う習慣などない時期でしたので、病院へ行って注射を受け、膝の部分に厚いスポンジが入ったサポーターをして、少しでも衝撃を減らすようにしていました。現在はストレッチング例が紹介され、機能的なサポーターも開発されていますので、それらを有効活用することで予防が行えます。


疾患の概念

メディカル編にもあるように、オスグッド病は、スポーツ活動などによるオーバーユースが原因で起こる、骨の成長によるスポーツ障害です。大腿四頭筋の柔軟性が低下し、脛骨粗面に負担がかかって発症します。よって、大腿四頭筋の柔軟性向上を目的としたストレッチングやアイシング、ウォームアップとクールダウンが大きな役割を果たします。


アスレティックリハビリテーション

Phase1(軽い症状)スポーツ活動後や起床後に痛みを感じ、日常生活では痛みを感じない場合には、ウォームアップとクールダウンを入念に行います。大腿四頭筋の柔軟性の低下が原因ですので、特に大腿四頭筋のストレッチングを入念に、30秒間1セットを2〜3セット行います。
 大腿四頭筋は内側広筋、外側広筋、中間広筋、そして大腿直筋から成ります。そのなかの大腿直筋は股関節をまたいで骨盤(下前腸骨棘)を起始部にもつため、膝を屈曲させるだけでなく股関節を伸展して行うストレッチングが必要です(写真4)。ストレッチングは、座位や仰臥位で行うと床と患部が触れて痛みを伴う場合がありますので、立位で行う方法もあります(写真5)。また、トレーニング後には患部周辺のアイシングも行います。
Phase2(中等度の症状)スポーツ活動中に痛みによる支障はないが終了後に痛みが強くなり、日常生活には支障をきたさない場合には、完全にスポーツ活動を中止する必要はありません。しかし、痛みが強くならない程度に運動量(頻度、強度、時間)をコントロールする必要があります。
 子どものチームスポーツでは1人だけ特別扱いすることは難しいですが、チームメイトに説明するなどして、チームの雰囲気をうまくコントロールする必要があります。ウォームアップやクールダウン、ストレッチングは軽い症状の場合と同等に行います。強めのストレッチングは患部への負担を強める可能性があるため、軽めのストレッチングを短時間で頻度を多くして行い、筋を伸ばすというよりもリラックスさせるようにします。
 成長期の選手は筋力も徐々についてきて、成長の早い選手は人よりも力があるので、力任せなパワーをメインに考えたプレーになりがちです。また、神経系が発達する時期でもありますので、“器用さ”を習得する期間として指導することが大切です。痛みがある選手への運動量を調節する際に、器用さを向上させるトレーニングや、上半身を中心とした運動指導を行うとよいと思います。水泳は上半身中心の運動ですが、キックを打つことにより痛みが発生する場合には、プルブイやビート板を脚に挟み、上半身だけの運動にすることも可能です。
Phase3(重い症状)スポーツ活動中に痛みによる支障があり、日常生活でも不便に感じる痛みがある場合には、医師の指示に従ってスポーツ活動を休止する必要があります。しかし、下肢を使わない運動は可能ですので、前述のようにプルブイを用いた水泳などを行い、体力の低下を最低限に抑えることができます。
 症状が軽減してスポーツ活動に復帰する段階で注意する点は、急激な強度や量の増加を行わないことです。ランニングの着地動作でも負担がかかるため、芝生や土の上を走らせるなどしますが、遅めのスピードから始めて症状をみながら徐々にスピードを上げていきます。また、ジャンプやジャンプの着地、ランニングの急加速や急減速、急なターンも大腿四頭筋に強い負担をかけますので、痛みを確認しながらスピード調整をしていきます。
 子どもはなかなか運動量を調整できませんので、コーチがうまくコントロールしてあげてください。そのため、成長期のスポーツ選手には特に柔軟性のチェック(図)や痛みのチェック(写真6)を行い、定期的にコンディションを把握する必要があります。また、ウォームアップ、クールダウン、ストレッチング、アイシングは欠かさないようにしましょう。これらを習慣化させることは、将来の競技生活にも重要なことです。

痛みを感じたり、故障が発生したら、すぐに医師の診察を受けることをおすすめします。

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