鉄人に聞け!フットボーラーズ・アンクル

症例解説Body & injury

Ankle,Achilles' tendon足首・アキレス腱

フットボーラーズ・アンクルFootballer's ankle

  • 原因や治し方(医療編)
  • 予防や対処法(トレーナー編)

はじめに

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フットボーラーズ・アンクルとは、欧米では戦前から知られているサッカー選手に多く発生する足関節の障害です。別名、衝突性外骨腫(impingement exostosis)とも呼ばれています。キックやバスケットボールのジャンプ時などで足関節の底背屈運動が強制され、骨同士が衝突して起こる骨の増殖変化をきたすスポーツ障害です(図1)。

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メカニズム

キックなど他動的な足関節の底屈強制により、足関節前方関節包が過伸張され損傷したり、踏み込んだときに背屈が強制されたりすることによって、骨同士が衝突して骨軟骨の損傷をきたします(図2)。この損傷の修復機転として骨棘が形成されるものと考えます。特に足関節捻挫の既往がある選手では、足関節の不安定性が増すため骨棘形成、滑膜の増殖をきたし疼痛などの症状を増長します。進行例では骨棘が骨折をきたし、関節内に遊離、嵌頓して激痛を発する場合があります。

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症状

キックやジャンプ時の足関節の自発痛、圧痛、運動時痛、骨棘の触知、進行すると足関節の可動域制限をきたします。関節前面の骨棘の存在は背屈制限の、後面の骨棘は底屈制限の原因となります。


診断

図2のレントゲン像は、脛骨下端の前面、距骨頸部前面、距骨後方の骨棘形成の典型像です。足関節の内外反ストレスによる衝突の場合は、内外果、距骨内外側部に骨棘を形成します。骨棘の位置やサイズの確認にはCTがさらに有用です。


好発スポーツ

足関節に負担の強いキック動作を伴うサッカーやラグビー、ジャンプ着地で足関節の底背屈が強制されやすい器械体操、バスケットボール、バレーボールなどが好発スポーツとして挙げられます。


治療

急性期は疼痛、腫脹に対して局所の安静、アイシング、時にホットパック、超音波、低周波などの物理療法を行います。関節可動を制限するためのテーピング、装具も有用です。疼痛が強いときは変形性関節症と同様にヒアルロン酸やステロイド注入も行います。保存療法で症状が改善しない場合や骨片が遊離した場合は、手術で骨棘を切除、摘出することがあります。  初期のリハビリテーションは、足関節の非荷重可動域訓練から開始します。次にチューブによる軽い負荷をかけた足関節の運動を行い、エアロバイク、プール歩行へと徐々に負荷を増していきます。

フットボーラーズ・アンクルとは

フットボーラーズ・アンクルは足関節の底屈、背屈が強制されることにより骨の増殖性変化が起こり、痛みと足関節の可動域の低下、腓骨筋群の筋力低下が起きてしまう障害です。足関節の不安定性が多くみられ、症状を悪化させてしまう要因となります。足関節の不安定性の対処を一番に考えて、リハビリテーションを進めてゆきます。  このエクササイズは足関節の内反捻挫のリハビリテーション、再発予防と共通することが多いので、日常のトレーニングのなかに組み入れることをお勧めします。


可動域の改善

痛みや腫れが原因で、足関節の可動域が制限されてしまいます。再発予防のためにも可動域の改善が必要です。まずは背屈(つま先を上に上げる動き)方向から始めていきますが、痛みが出ない程度に徐々に進めてゆきます。下腿のストレッチングと同じように行いますが、体重をすべてかけてしまうと負荷が大きくなりすぎてしまうため、バーなどにつかまって負荷を調整します。腫れが引いたあとは、入浴後などに行うと効果的ですので、自宅でも行うようにしましょう。


筋力強化

主に腓骨筋群の強化を行います。腓骨筋群は下腿の外側にあり、足関節の回内(小指側を上にあげる動き)をさせる筋肉で、足関節の安定性を高めるために重要な筋肉です。徒手抵抗で行うものやチューブなどを利用するものがありますが、いずれも痛みがない範囲で行い、低強度から痛みの具合を確認しながら徐々に負荷を高めていきます。

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腓骨筋群のトレーニングは、主に足関節を回内させることにより鍛えることができますが、底屈(つま先を下に下げる動き)、背屈、内返し(底屈しながらつま先を内側に向け、小指側を下に下げる動き)、外返し(背屈しながらつま先を外側に向け、小指側を上に上げる動き)などのさまざまな方向のトレーニングを併せて行うことにより、安定性を高める効果が高まります(写真1:徒手抵抗トレーニング、内返し・外返し)。チューブを用いて行う場合も、チューブの種類、引っ張りの度合いにより強度が変わるため、強度の低いものから徐々に負荷を増していきます(写真2、3:チューブエクササイズ、内返し・外返し)。

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バランスディスクやバランスボード

足関節の安定性を高めるために、バランスボードやバランスディスクなどを利用してトレーニングを行います。足首を底屈、背屈、内返し、外返しなど、円を描くように、できるだけスムーズに自由自在に動かすことを目標に行います。まずは体重をかけないように座位で、少しだけバランスディスクを踏みつけるように力を入れながら行い(写真4:バランスディスク座位)、回復に伴って、立位で反対側の足を床につけて足にかかる荷重を調整しながら行います(写真5:立位荷重を調整)。最終的には片脚で安定して立てるようにします。

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グラウンドでのトレーニング

医師からグラウンドでのトレーニングの許可が出たら、ウォーキングからジョギング、ランニングと徐々に強度を上げてスポーツに復帰する最終段階のトレーニングに入っていきます。まずは前進の直進方向のランニングを行い、これが可能になったら後ろ向きで直進のトレーニング、次に8の字、直角ターン、ジグザク走と曲がる角度を鋭角にしていきます。常に痛みの具合を確認しながら、徐々に競技に必要な動き、筋力、技術を回復させていきましょう。

痛みを感じたり、故障が発生したら、すぐに医師の診察を受けることをおすすめします。

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