中足骨の疲労骨折 Stress fracture

ドクターによる症状解説

Mitsutoshi Hayashi
林 光俊先生
医学博士、日本リハビリテーション医学会専門医、日本整形外科学会専門医、日本リウマチ学会専門医、JOC強化スタッフ、日本体育協会公認スポーツドクター
中足骨の疲労骨折
原因・発症のメカニズム
中足骨疲労骨折は、ランニングやジャンプ動作による過度の体重負荷が、長時間、足部アーチに繰り返し加わることで発生するオーバーユース(使いすぎ)に起因する足のスポーツ障害です(図1)。金属疲労(金属板の折り曲げ運動)と同様に、繰り返し中足骨(足アーチ)へ体重負荷が加わって起こるので(図2)、急に起こる骨折とは発生原因が異なり見過ごされることがあります。
キーワード:成長期選手、オーバーユース、ランニング
診断
診断
足背中央の疼痛、熱感、腫張〈しゅちょう〉の存在に加え、レントゲン検査で骨折による仮骨形成(新しい骨)、骨硬化像(レントゲンで白色化)が認められる場合が典型例です。しかし、発症直後はレントゲン上で異常を認めない場合があり、症状が続く場合は2~3週間後に再検査をしてください(明らかな骨折線を認めない場合が多いため)。レントゲン断層撮影、骨シンチグラム、MRIなども有用です。
好発スポーツ
走ったり飛ぶスポーツ、サッカー、・ラグビー、・バレーボール、・マラソンや長距離競技に好発しますが、バスケットボールや剣道、野球などでも発生します。
スポーツレベル
筋力バランスや柔軟性低下、過剰なトレーニングによって起こりやすく、トップレベルから一般競技者まで幅広くみられます。
好発年齢
骨成長期の選手、特に10歳くらい~高校生が好発年齢ですが、種目や運動量により成人でも発生する場合があります。
好発部位
第3中足骨骨幹部が半数を占め、以下第2、第4、第5の順で第1はまれです。第5中足骨発生例はジョーンズ骨折(下駄骨折)と言われ、最近サッカー・フットサルで多く発生し、比較的難治性です。左右差はなく、下肢疲労骨折の約半数を占めます。
治療・リハビリ
治療方法
ランニングなどの荷重トレーニングは約4週間は禁止、疼痛部のアイシング、歩行時に強い疼痛がある場合は松葉杖などによる免荷が必要となります。活動はプール歩行やエアロバイクなど体重の掛からない練習から始めてください。トレーニング期の治療はトレーナー編を参照。
注意点
中途半端な練習休止は再発し、難治化します。練習再開に際しては、オーバーワークにならないようなトレーニングメニューの再考が必要です。また、ストレッチによる足関節、膝関節、特に股関節の柔軟性獲得を図り、ランニングによる足部への負担を軽減する必要があります。
代表症例
症例は15歳の男性でユースサッカー選手。平日は1日3時間、土曜は半日、日曜は試合と、1週間ほぼ毎日、終日プレーしていました。疼痛が右足背部に出現しましたが、だましだまし練習を続けていたところ、3週間後に増悪したので来院。初診時に足背中央部の圧痛や運動痛が認められ、プレーに支障はありますが、日常生活上では問題はありませんでした。レントゲン検査ですでに第3中足骨骨幹部に仮骨が認められています(図3)。
約4週間のランニング休止により症状は軽減。5週目から徐々にプレーを再開しましたが、完全復帰は3ヵ月目から。3週(図4)、3ヵ月時のレントゲン(図5)でも骨形成は良好でした。

図1 足関節のアーチにはスプリングのようにショック吸収の役目があるので、ランニングやジャンプによって繰り返し衝撃が加わると亀裂が発生する

図2 金属疲労と同様に繰り返しの屈伸動作が原因で発生する

図3:初診時
初診時は明らかな骨折線はなく、第3中足骨骨幹部のわずかな仮骨形成が認められる

図4:受傷後3週目
受傷後3週目は骨折部の仮骨形成は初診時に比べて促進しているが、ランニングプレーをするにはまだ不十分である

図5:受傷後3ヶ月
受傷後3ヶ月では骨幹部は中足骨の両側ともに仮骨の架橋(補強)形成がみられ、横径は約2倍に肥厚している。十分にプレーが可能
トレーナーによる対処法解説

Yoshizumi Iwasaki
岩崎由純先生
NATA公認アスレティック・トレーナー、日本体育協会公認アスレティックトレーナー、JCCA(日本コア・コンディショニング協会)会長
予防
予防のためのチェックポイントと具体的方法は、下記のとおりです。
・疲労の蓄積
疲労骨折などのオーバーユースの障害を予防するには、疲労を蓄積しないことが先決です。
足裏のマッサージなどが効果的です。
・体形的な特徴
足部の形態的な特徴がゆえに、足裏全体で体重の衝撃を吸収して逃がしたりできず、ある1点に何度も負担がかかりそうな場合は、足の形状に合わせたインソールなどが予防につながります。
・動きの特徴
スポーツ障害の原因となりかねない、バイオメカニクス的に無理がある動きは早めに修正してください。
・フットウエア
正しいサイズと足の特徴に合ったシューズを選ぶことが大事です。ふだんからラスト(型紙)や中敷きにも気を配るなど、可能な範囲での工夫と研究が不可欠です。
・体重管理
急激な体重増加も要因となりますので、体重に注意することも大事になります。
現場評価・応急処置
まず炎症を起こしているであろう部位をアイシングし、画像診断ができる総合病院で診察を受けます。明らかな疲労骨折だと診断されたら、しばらく休養をとるべきでしょう。 治療期間中には痛みの程度にもよりますが、アイシング以外に消炎鎮痛剤の塗布、足底のマッサージ、温水浴、交代浴、超音波治療などを行います。 復帰時期については、以前は自己申告を信じて治癒や痛みの程度を判断していましたが、最近では医療技術が進歩して、MRIなどで身体の内部がわかるようになりました。ドクターのゴーサインを守り、フライングをしないようにしましょう。
リコンディショニング
足を地面につけられないほどの強い痛みがある期間でも、足部以外のトレーニングは続けてください。その間、痛みのある足部のトレーニングも可能な範囲で処方していきます。
足関節の底屈、背屈、回内、回外、足趾のトレーニングなどは座位で、足趾を鍛えるために、マーブル拾いやタオルギャザーなどを行うこともあります。
足を地面につけて歩ける程度になったら、積極的に体重を乗せるトレーニングを行います。足裏全体が地面についた状態で行う一般的なトレーニングに、足部に体重支持のみの二次的な刺激を入れることから始めます。
次にカーフレイズやアンクルバウンス、踵〈かかと〉歩行やつま先歩行、速歩きと段階を経て、シャッキング、ジョギングへと進みます。 コンディショニング・プログラムでは、あくまでも徐々に負荷をかけていくことが大事です。「大丈夫そう」と見切り発車をして、激しいトレーニングを行うことのないようにしましょう。

再発予防としては、前述したすべての予防項目を再度チェックし、問題がなかったか検討します。指導者による練習やトレーニング量のさじ加減も鍵を握りますが、いうまでもなく体重の管理が大事です。 競技復帰の再開テストについては、片足ホップやランニング、方向転換、そして種目の特徴的な動きなどのテストをクリアすればOKとします。また、再発予防措置としてのテーピングも効果的でしょう。
関連する症例
ザムストのご紹介
「ザムスト-ZAMST」は、医療メーカーとして整形外科向け製品を開発・製造する日本シグマックス㈱が展開するスポーツ向けサポート・ケア製品のブランドです。
契約アスリート
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西田有志(バレーボール)
プロフィール
【所属】ジェイテクトSTINGS
【ポジション】オポジット
【生年月日】2000年1月30日
【出身地】三重県いなべ市
【主な経歴】
・2017-18 V・プレミアリーグ男子 最年少デビュー(18年1月)
・FIVBワールドカップバレーボール2019 4位
・2019-20 V.LEAGUE DIVISION1 MEN 優勝
・令和2年度 天皇杯・皇后杯 全日本バレーボール選手権大会優勝
使用しているアイテム
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小野寺太志(バレーボール)
プロフィール
【所属】JTサンダーズ広島
【ポジション】ミドルブロッカー
【生年月日】1996年2月27日
【出身地】宮城県
【主な経歴】
2019年:V.LEAGUE DIVISION1 ベスト6
2020年:V.LEAGUE DIVISION1 スパイク賞、ブロック賞、ベスト6
2021年:V.LEAGUE DIVISION1 ブロック賞、ベスト6
【代表歴】
2019年:ネーションズリーグ 日本代表
ワールドカップ 日本代表
2021年:ネーションズリーグ 日本代表
2020東京オリンピック 日本代表使用しているアイテム
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ウィルフレド・レオン・ベネロ(バレーボール)
プロフィール
【所属】シル・サフェーティ・ペルージャ (SIR Safety Perugia)
【ポジション】ウイングスパイカー
【生年月日】1993年7月31日
【出身地】サンティアーゴ・デ・クーバ(キューバ)※2015年ポーランド国籍取得
【主な経歴】
・2010年:世界選手権 2位(キューバ代表)
・2012年:ワールドリーグ 3位(キューバ代表)
・2015年:欧州チャンピオンズリーグ 優勝(ロシア・スーパーリーグのゼニト・カザン)、MVP受賞
・代表歴13年
使用しているアイテム
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富樫勇樹(バスケットボール)
プロフィール
【ポジション】ポイントガード
【生年月日】1993年7月30日
【出身地】新潟県
【主な経歴】
2018年:Bリーグ シーズンベストファイブ
2019年:Bリーグ シーズンベストファイブ&最優秀選手賞
2020年:Bリーグ シーズンベストファイブ&アシスト王
2021年:Bリーグ シーズンベストファイブ
【代表歴】
2014年:アジア競技大会 日本代表
2019年:ワールドカップ予選 日本代表
2021年:2020東京オリンピック 日本代表使用しているアイテム
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河村勇輝(バスケットボール)
プロフィール
【所属】横浜ビー・コルセアーズ
【ポジション】ポイントガード
【生年月日】2001年 5月 2日
【出身地】山口県
【主な経歴】
・U16.18.20.22日本代表
・国体福岡県代表使用しているアイテム
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シェーファーアヴィ幸樹(バスケットボール)
プロフィール
【生年月日】1998年1月28日
【出身地】兵庫県
【経歴】
2018-19:アルバルク東京
2019-20:滋賀レイクスターズ
2020- :シーホース三河
【代表歴】
2019年:FIBAワールドカップ 日本代表
2020年:FIBAアジアカップ予選 日本代表
2021年:2020東京オリンピック 日本代表使用しているアイテム
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保岡龍斗(バスケットボール)
プロフィール
【所属】秋田ノーザンハピネッツ
【ポジション】シューティングガード
【生年月日】1995年4月27日
【出身地】埼玉県
【主な経歴】
・2016年:関東大学バスケットボール2部リーグ戦 個人賞4冠
・2017年:U-24日本代表候補選出
・2018年:FIBA 3x3ワールドカップ2018 日本代表候補
・2019年:3x3アジアカップ日本代表
・2021年:東京オリンピック 3x3 日本代表 -
岡田侑大(バスケットボール)
プロフィール
【所属】信州ブレイブウォリアーズ
【ポジション】ポイントガード/シューティングガード
【生年月日】1998年6月10日
【出身地】京都府
【主な経歴】
2016年:ウィンターカップ2016 優秀選手賞
2017年:第93回関東大学バスケットリーグ 優秀選手賞
2019年:Bリーグ 2018-19シーズン 新人賞
【代表歴】
2016年:U-18日本代表
2018年:U-22日本代表 -
津屋一球(バスケットボール)
プロフィール
【所属】三遠ネオフェニックス
【ポジション】シューティングガード
【生年月日】1998年6月7日
【出身地】青森県
【主な経歴】
・2012年:U-16 日本代表チーム候補選手
・2013年:U-18 日本代表チーム
・2016年:U-19 日本代表チーム 日本代表候補選手
・2018年:U21デフバスケットボール世界選手権 準優勝、大会得点王、大会MVP使用しているアイテム
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伊藤駿(バスケットボール)
プロフィール
【所属】秋田ノーザンハピネッツ
【ポジション】ポイントガード
【生年月日】1990年2月14日
【出身地】宮城県
【主な経歴】
・2011年:第15回日本男子学生選抜バスケットボール大会 最優秀選手賞使用しているアイテム
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寺嶋恭之介(バスケットボール)
プロフィール
【所属】HACHINOHE DIME
【ポジション】ポイントガード/シューティングガード
【生年月日】1991年10月17日
【出身地】青森県弘前市
【主な経歴】
2014年~ F'SQUAD(SOMECITY:ストリートボールリーグ)所属
2019年~ HACHINOHE DIME(3×3.EXE PREMIER) 所属
2020年~ 青森ワッツ(B2リーグ) 所属
2021年~ HACHINOHE DIME(3×3.EXE PREMIER)所属使用しているアイテム
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山本麻衣(バスケットボール)
プロフィール
【ポジション】ポイントガード
【生年月日】1999年10月23日
【出身校】桜花学園高等学校
【代表歴】
(5人制)
2016 U-17ワールドカップ
2016 U-18アジアカップ
2021 FIBAアジアカップ
2022 FIBAワールドカップ2022予選
(3x3)
2018 U-23ワールドカップ
2019 U-23ワールドカップ
2021 東京オリンピック予選
2021 東京オリンピック
2022 FIBAワールドカップ2022使用しているアイテム
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東藤なな子(バスケットボール)
プロフィール
【所属】トヨタ紡織サンシャインラビッツ
【ポジション】シューティングガード
【生年月日】2000年11月29日
【出身校】札幌山の手高等学校
【代表歴】
2018 U-18アジア選手権
2019 U-19ワールドカップ
2021 東京オリンピック
2021 FIBA女子アジアカップ -
エレーナ・デレ・ダン(バスケットボール)
プロフィール
【所属】Washington Mystics
【ポジション】スモールフォワード/シューティングガード
【生年月日】1989年9月5日
【出身校】デラウエア大学
【プロ契約年】2013年
【主な経歴】
・2013年:プレーオフ進出(チーム初)・新人王受賞
・2015年:得点王獲得・MVP受賞
・2018年:3000得点最速記録更新(148試合)
・2019年:リーグ優勝(チーム初)・MVP受賞
2013-2019シーズンで「First Team」に4度、オールスターに6度選出
使用しているアイテム
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畠中槙之輔(サッカー)
プロフィール
【所属】 横浜F・マリノス
【ポジション】DF(ディフェンダー)
【生年月日】 1995年8月25日
【出身地】神奈川県
【主な経歴】
・横浜すみれSC
・東京ヴェルディジュニア
・東京ヴェルディJrユース
・東京ヴェルディユース
・東京ヴェルディ
・FC町田ゼルビア
・東京ヴェルディ
・横浜F・マリノス使用しているアイテム
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小林祐介(サッカー)
プロフィール
【所属】ジェフユナイテッド市原・千葉(Jリーグ)
【ポジション】MF(ミッドフィルダー)
【生年月日】1994年10月23日
【出身地】埼玉県
【経歴】
尾間木サッカースポーツ少年団
柏レイソル(U-15→U-18→トップチーム)
湘南ベルマーレ
柏レイソル
【代表歴】
2011年:U-18日本代表
2013年:U-19日本代表使用しているアイテム
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鵜木郁哉(サッカー)
プロフィール
【所属】水戸ホーリーホック(Jリーグ)
【ポジション】FW(フォワード)
【生年月日】2001年7月4日
【出身地】千葉県
【経歴】
FC佐倉
柏レイソル(U-15→U-18)
【代表歴】
2019年:U-18日本代表候補使用しているアイテム
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佐藤亮(サッカー)
プロフィール
【所属】ギラヴァンツ北九州
【ポジション】FW(フォワード)
【生年月日】1997年11月24日
【出身地】東京都
【主な経歴】
2015年:高円宮杯 JFA U-18プレミアリーグEAST得点王
関東大学サッカーリーグ戦MVP
2019年:ベストイレブン
ベストヒーロー賞
全日本大学サッカー選手権大会ベストFW
【代表歴】
2015年:U-18日本代表候補
2016年:U-19日本代表使用しているアイテム
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日比野菜緒(テニス)
プロフィール
【所属】株式会社ブラス
【生年月日】1994年11月28日
【出身地】愛知県一宮市
【主な経歴】
・2013年:プロ転向
・2015年:タシケント・オープンでプロ転向後初となるWTAツアー優勝
・2016年:ASBクラシック ベスト8
・2019年:花キューピット ジャパンウイメンズオープンテニスチャンピオンシップス シングルス・ダブルス同時優勝使用しているアイテム
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岩出玲亜(マラソン)
プロフィール
【所属】 フリー(一般財団法人千葉陸上競技協会)
【競技】マラソン
【生年月日】 1994年12月8日
【出身地】三重県
【記録】
・2019 名古屋ウィメンズマラソン 5位
2時間23分52 秒 (日本人 1位)
・2019 マラソングランドチャンピオンシップ 9位
2時間41分22 秒
・2019 国内女子マラソンタイム ランキング 1位
【主な経歴】
・豊川高校(愛知県)
・株式会社ノーリツ(2013年4月~2017年5月)
・株式会社ドーム・アンダーアーマーアスレチッククラブ(2017年7月~2020年8月) -
穴井詩(ゴルフ)
プロフィール
【所属】GOLF5
【生年月日】1987年11月11日
【出身地】愛知県岡崎市使用しているアイテム