鉄人に聞け!ボクサー骨折

症例解説Body & injury

Elbow, Wrist, Finger肘・手首・指

ボクサー骨折Boxer’s fracture

  • 原因や治し方(医療編)
  • 予防や対処法(トレーナー編)
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はじめに

ボクサー骨折はスポーツ傷害の1つで、ナックル(手拳)による強打の衝撃で起こる中手骨骨折です(図1)。


受傷原因

語源からボクサーのように拳で人、壁などを殴ることによって発生します。面白いことに、最近ではゲームセンターのパンチマシン(喧嘩〈けんか〉なども)を叩いて発生することも多くなってます。


好発部位

第4・5中手骨の頸部〈けいぶ〉に発生しやすく、ハードパンチャーでは第2・3中手骨骨折、正しく握ってないと母指の骨折も起こります。


症状

パンチ衝撃後の手部の激痛、腫脹〈しゅちょう〉、変形、手指の運動障害が急激に発生します(写真1)。


レントゲン

中手骨の頸部に骨折線があり、背側突の屈曲変形を呈します(写真2)。この変形は、骨間筋、指屈筋腱、手根伸筋などの作用で骨が転位したため引き起こされます。


治療

中手骨頸部で背側突の変形が生じやすく、保存療法はこれをMP・PIP関節90度屈曲位で矯正して整復、固定します(実際には変形が再び生じやすい)。整復困難な例では、手術が適応です。経皮的に鋼線を刺入するなどの内固定を要します。


リハビリテーション

保存療法の固定は4~6週間必要です。その後、手指の屈伸訓練から開始します。ボクサーではさらに固定期間が必要です。
 2ヵ月以上経過してレントゲン上で骨癒合が完成していたら、柔らかいところを正しく軽く叩くようにします。変形、短縮した例では再骨折が起きやすいので、さらに十分な期間を要します。強いパンチ衝撃の加わる練習は6ヵ月は禁止しましょう。


ひと言

パンチを繰り出すときの正拳は、中手骨の縦軸方向に力が加わるようにします。衝撃の方向がずれると中手骨頸部に衝撃が加わり、骨折の原因となるので要注意です。


エピソード

ボクシング元世界フライ級チャンピオンの海老原博幸選手は、そのパンチの強さゆえに、自分の拳まで痛めたといわれています。現役中に数回骨折を繰り返し、完治せずに最後は引退の原因となりました。ハードパンチャーに宿命の傷害がボクサー骨折なのです。

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受傷機転と現場での処理

ボクサー骨折は、拳を握って強打することで発生し、中手骨の頸部を骨折します。一般に、骨折部位は、第4・5中手骨に多く発生します。しかし、プロボクサーや空手家などの上級者は第2・3中手骨を受傷する場合が多いことから、スポーツ現場では注意が必要です。  急性症状は、MP関節の運動制限と中手骨骨頭部隆起の消失(変形)、中手骨頸部の激しい腫脹が認められた場合は、骨折を疑い、その処置を行います。


RICE処理

現場での処置は、まずアイシングを行います。骨折による変形がある場合は、アイスパックや氷嚢〈ひょうのう〉を使用すると、患部が圧迫されて痛みが伴うためにアイスバケツを使用します。その際、なるべくアイスバケツを高い位置において患部を挙上します。また、手関節くらいまでバケツの中に入れて、手全体をアイシングします(写真1)。
 20分くらいで感覚がマヒしてきたら、固定を行います。


固定

固定は、金属板にスポンジを付けたアルフェンスシーネ(写真2)を用いて行います。アルフェンスシーネは手で簡単に形を変えられるため、しっかりと患部が固定できます。スポーツ現場での応急処置にはとても重宝します。
 掌側にアルフェンスシーネを当てて、手関節部とDIP関節の辺りでテープで固定します(写真3)。MP関節は、やや屈曲位で固定します。  固定をしたら、すみやかに医療機関を受診しましょう。


アスレティック・リハビリテーション

保存療法の場合、医療機関での整復後3~4週間は固定をします。
 固定後は、関節可動域と筋力の回復を目的として、アスレティック・リハビリテーションを行います。以下に、アスレティック・リハビリテーションプログラムを紹介します。

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痛みを感じたり、故障が発生したら、すぐに医師の診察を受けることをおすすめします。

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