駒野友一選手が高校生のころの自分に言いたいこと

駒野友一選手が高校生のころの自分に言いたいこと

「高校時代の自分に言ってやりたいことですか? “英語を勉強しろ”ですかね。日本代表として海外の選手と対戦するとき、よく話しかけられるんですけど、僕は英語が得意ではないので、聞くばかりになってしまう。高校時代にちゃんと英語の勉強をしておけばよかった」

“サッカー漬けだった高校時代の自分に言いたいことは?”との問いに、英語だと答えてくれたのは、サイドバックのスペシャリストとして活躍する駒野友一選手。

両サイドをこなすこの器用なサイドプレーヤーは、どんなサッカー選手人生を送ってきたのでしょうか。また、日本代表選手に登りつめた秘訣はどこにあるのでしょうか?

高校生からひとりのプロサッカー選手へ

高校生活はとにかくサッカー漬けだったと語る駒野選手。めきめきと実力をつけ、高校3年の夏頃ころから同じ広島ユースのチームメイトだった森崎和幸・浩司兄弟とともに、トップチームの練習に参加するようになりました。

── 目指していたプロサッカー選手が、手に届くところまできてどんな気持ちだったのでしょうか?

「トップに上がるチャンス。それがすぐ近くまで来ていると思っていたので、よりいっそう気を引き締めました。“このチャンスをモノにしなければ、ここ(広島)に来た意味がない”とすら思っていましたから」

── そうした努力の結果、見事に契約に至りました。高卒1年目にして、試合にも出場しました。

「休みの日にも“遊び”の誘惑に負けず、テレビでサッカーを見たり、体を動かしてきたりと頑張ってきましたから、クラブから契約の話が来たときは本当に嬉しかったです。1年目は1試合だけ出ました。内容はよくなかったですが、まずは第一歩を踏み出せたのかなと思いました」

大きな怪我を乗り越えたことで精神的に成長できた

大きな怪我を乗り越えたことで精神的に成長できた

プロとして活躍していく中で、大きな怪我にもあった遭った駒野選手。最も辛かったと語るのが、膝の前十字靭帯損傷だと言います。

── 怪我を負った時、駒野選手はどのようにして乗り越えましたか?

「2003年に膝の前十字靭帯をやったときは、リハビリ生活に8カ月かかりました。こんなにも大変なものかと思いましたね。次の年にはオリンピックもあったので、怪我を乗り越えた先輩にアドバイスをもらいながら、とにかく復帰するんだという気持ちで取り組みました。復帰して初めてボールを蹴った時、まわりから見たら気持ち悪いくらい笑っていましたね」

── その経験があるから、その後の怪我も乗り越えられたのでしょうか?

「そうですね。その後も何度か1、2カ月程度の離脱を経験しましたが、ほとんど苦になっていません。それは過去に大きな怪我を乗り越えたあの時の苦しさがあるから。精神的に強くなることができましたね」

ワールドカップという舞台に立って

∪-23日本代表としてアテネオリンピックに出場。その活躍もあって、2005年には、日本代表に初選出。2006年、2010年と2大会連続でワールドカップという大舞台に立ちました。

日本代表としても華々しい実績を残している駒野選手にとって、ワールドカップはどのような位置づけだったのでしょうか。

── 初めてワールドカップを意識したのはいつですか?

「2002年の日韓大会ですね。フランスもアメリカもテレビでは見ましたが、身近に感じられて、刺激になったのは22歳の時に開催された日韓大会。“出たい”という気持ちがいっそう強くなりましたね」

── “憧れ”から明確な“目標”に変わった瞬間ということでしょうか。

「2005年に初選出されて、ドイツでのワールドカップが手に届く所まできました。実際に出場できたことも嬉しかった。でも緊張しすぎて、初戦の前半は今までのサッカー人生の中で一番早く終わってしまった」

── その経験があったから南アフリカでは落ち着いてできたのでしょうか?

「そうですね。2回目の出場となった南アフリカ大会のときは、ドイツの時の経験があったから、雰囲気にのまれることなく、少しの緊張感で普段通りのプレーをすることができました」

駒野選手に学ぶ、うまくいかない時にすべきこと

駒野選手に学ぶ、うまくいかない時にすべきこと

── どうしてもプレーがうまくいかない時があると思います。そういった時にはどのように自分をコントロールしているのでしょうか?

「試合前であれば、好きな音楽を聞いて気持ちを落ち着かせたり、自分の良いプレーを見返したりします。ハーフタイムなどでは、イメージ通りのクロスを上げることができたシーンなど、これまでの良いプレーを思い返しますね」

── うまくいかないと思い悩む中学・高校生に向けたアドバイスがあればお願いします。

「うまくいかない時はとにかく“やり続けること”が大切。良いイメージや良い感覚を取り戻すまで繰り返し続けるのがいいのではないでしょうか。あとは考え過ぎないことですね。考え過ぎると違った方向にいってしまうこともあるので」

── 最後に、プロサッカー選手になりたい中学・高校生のみなさんに、一言お願いします。

「一人ひとり、長所短所がそれぞれあるかと思います。もちろん短所を直すことも必要ですけど、その前に長所をどんどん伸ばして、それを自分のものにすること、そして自分を出していくことを心掛けるのがいいと思います」

サッカーが好きという気持ちが誰よりも強かったと語る駒野友一選手。
それが今の自分に繋がっているとも言います。
中学生、高校生、それぞれが自分の夢や目標があると思います。
みなさんが思う、その「10年後の自分の姿」を実現するためには、
夢や目標に向かう“誰にも負けないほどの強い気持ち”が大切ではないでしょうか。

企画・株式会社イースリー 文・遠藤由次郎 写真・末吉保乃香

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