鉄人に聞け!中足骨の疲労骨折

症例解説Body & injury

Ankle,Achilles' tendon足首・アキレス腱

中足骨の疲労骨折Stress fracture

  • 原因や治し方(医療編)
  • 予防や対処法(トレーナー編)

Question
ユースのサッカーチームでコーチをしています。ある選手が足背部に痛みを訴えたので病院で診察を受けたところ、「疲労骨折の疑いがある」と言われたそうです。練習を1週間休むと痛みが軽減したので復帰すると、再発しました。コーチとしてどのような対処をすればよいのでしょうか。


中足骨疲労骨折は、ランニングやジャンプ動作による過度の体重負荷が、長時間、足部アーチに繰り返し加わることで発生するオーバーユース(使いすぎ)に起因するスポーツ障害です(図1)。金属疲労(金属板の折り曲げ運動)と同様に、繰り返しの屈伸負荷が中足骨に加わって起こるので(図2)、一般的な骨折とは発生原因が異なり見過ごされることがあります。

●キーワード:成長期選手、オーバーユース、ランニング

●好発スポーツ:・サッカー、・ラグビー、・バレーボール、・マラソンや長距離競技、に好発しますが、バスケットボールや剣道、野球などでも発生します。

●スポーツレベル:筋力バランスや不適切なトレーニングによって起こりやすく、トップレベルから一般競技者まで幅広くみられます。

●好発年齢:骨成長期の選手、特に10歳くらい~高校生が好発年齢ですが、種目や運動量により成人でも発生する場合があります。

●好発部位:第3中足骨骨幹部が半数を占め、以下第2、第4の順。第5中足骨発生例は難治性の場合があり、第1はまれです。左右差はなく、下肢疲労骨折の約半数を占めます。

●症状:打撲などによる強い外力、明らかな外傷がなく、足背部に発生する疼痛〈とうつう〉が初発症状です。発症形式は急激に疼痛が発生するタイプと、徐々に発生するタイプとがあります。性別は4:1で男性に多くみられます。

●診断:足背中央の疼痛、熱感、腫張〈しゅちょう〉の存在に加え、レントゲン検査で骨折による仮骨形成(新生の骨形式)、骨硬化像(白色化)が認められる場合が典型例です。しかし、発症直後にレントゲン上に異常を認めない場合は、2~3週間後に再検査をしてください(明らかな骨折線を認めない場合が多いため)。レントゲン断層撮影、骨シンチグラム、MRIなども有用です。

●治療方法:ランニングなどの荷重トレーニングは約4週間は禁止、疼痛部のアイシング、歩行時に強い疼痛がある場合は松葉杖などによる免荷が必要となります。トレーニング期の治療はトレーナー編を参照。

●注意点:中途半端な練習休止は再発し、難治化します。練習再開に際しては、オーバーワークにならないようなトレーニングメニューの再考が必要です。また、ストレッチによる足関節、膝関節、特に股関節の柔軟性獲得を図り、ランニングによる足部への負担を軽減する必要があります。

●代表症例:症例は15歳の男性でユースサッカー選手。平日は1日3時間、土曜は半日、日曜は試合と、1週間ほぼ毎日、終日プレーしていました。疼痛が右足背部に出現しましたが、だましだまし練習を続けていたところ、3週間後に増悪したので来院。初診時に足背中央部の圧痛や運動痛が認められ、プレーに支障はありますが、日常生活上では問題はありませんでした。レントゲン検査ですでに第3中足骨骨幹部に仮骨が認められています(図3)。

 約4週間のランニング休止により症状は軽減。5週目から徐々にプレーを再開しましたが、完全復帰は3ヵ月目から。3週(図4)、3ヵ月時のレントゲン(図5)でも骨形成は良好でした。

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Question
ユースのサッカーチームでコーチをしています。ある選手が足背部に痛みを訴えたので病院で診察を受けたところ、「疲労骨折の疑いがある」と言われたそうです。練習を1週間休むと痛みが軽減したので復帰すると、再発しました。コーチとしてどのような対処をすればよいのでしょうか。


予防のためのチェックポイントと具体的方法

・疲労の蓄積
疲労骨折などのオーバーユースの障害を予防するには、疲労を蓄積しないことが先決です。
・体形的な特徴
足部の形態的な特徴がゆえに、足裏全体で体重の衝撃を吸収して逃がしたりできず、ある1点に何度も負担がかかりそうな場合は、体形的な特徴に合わせた予防法をとるべきです。
・動きの特徴
スポーツ障害の原因となりかねない、バイオメカニクス的に無理がある動きは早めに修正してください。
・フットウエア
正しいサイズと足の特徴に合ったシューズを選ぶことが大事です。ふだんからラスト(型紙)や中敷きにも気を配るなど、可能な範囲での工夫と研究が不可欠です。


痛みが出た場合のマネジメント法

・応急処置
まず炎症を起こしているであろう部位をアイシングし、骨シンチグラムをもつ総合病院で診察を受けます。明らかな疲労骨折だと診断されたら、しばらく休養をとるべきでしょう。 治療期間中には痛みの程度にもよりますが、アイシング以外に消炎鎮痛剤の塗布、足底のマッサージ、温水浴、交代浴、超音波治療などを行います。 復帰時期については、以前は自己申告を信じて治癒や痛みの程度を判断していましたが、最近では医療技術が進歩して、MRIや骨シンチグラムなどで身体の内部がわかるようになりました。ドクターのゴーサインを守り、フライングをしないようにしましょう。
・コンディショニング
足を地面につけられないほどの強い痛みがある期間でも、足部以外のトレーニングは続けてください。その間、痛みのある足部のトレーニングも可能な範囲で処方していきます。足関節の底屈、背屈、回内、回外、足趾〈そくし〉のトレーニングなどは座位で、足趾を鍛えるために、マーブル拾いやタオルギャザーなどを行うこともあります。 足を地面につけて歩ける程度になったら、積極的に体重を乗せるトレーニングを行います。足裏全体が地面についた状態で行う一般的なトレーニングに、足部に体重支持のみの二次的な刺激を入れることから始めます。次にカーフレイズやアンクルバウンス、踵〈かかと〉歩行やつま先歩行、速歩きと段階を経て、シャッキング、ジョギングへと進みます。 コンディショニング・プログラムでは、あくまでも徐々に負荷をかけていくことが大事です。「大丈夫そう」と見切り発車をして、激しいトレーニングを行うことのないようにしましょう。
・再発予防
前述したすべての予防項目を再度チェックし、問題がなかったか検討します。指導者による練習やトレーニング量のさじ加減も鍵を握りますが、いうまでもなく体重の管理が大事です。 競技復帰の再開テストについては、片足ホップやランニング、方向転換、そして種目の特徴的な動きなどのテストをクリアすればOKとします。また、再発予防措置としてのテーピングは独自のものになります。

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痛みを感じたり、故障が発生したら、すぐに医師の診察を受けることをおすすめします。

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