鉄人に聞け!足底筋(腱)膜炎

症例解説Body & injury

Ankle,Achilles' tendon足首・アキレス腱

足底筋(腱)膜炎Plantar fascitis

  • 原因や治し方(医療編)
  • 予防や対処法(トレーナー編)
label_27_01

はじめに

走れば走るほど、足の裏が痛くなるスポーツ障害を知っていますか? 足底筋(腱)膜炎は、マラソンなどの競技者に多く見られる、ランニング動作の繰り返しによる障害で、足底部のオーバーユースを原因として発症しやすいものです。


原因

足底筋膜は足部のアーチを保持しています。スプリングのように荷重時にショックを吸収する役目がありますが、そのためランニングやジャンプ動作などで体重刺激が足部にかかる場合、足底筋膜は繰り返しの牽引刺激によって微小断裂や炎症が発生しやすくなります。 路面接地時には足底筋膜の遠位にある足趾〈そくし〉は伸展して、近位にある踵骨〈しょうこつ〉も下腿三頭筋―アキレス腱によって牽引され伸張されます。また足部のアライメントも重要で、扁平足の競技者は回内足を合併しやすく、中央部の土踏まずに疼痛〈とうつう〉が存在しやすいのです。反対に、ハイアーチ(甲高)では柔軟性が乏しく、筋膜を損傷しやすい傾向があります。原因の一端にはオーバーユース、硬い路面(サーフェスの変化)、シューズの変更(ヒールアップが望ましい)なども挙げられます。


症状

荷重時の足底部痛は、踵〈かかと〉に近い(1)筋膜起始部に最も多く発生し、続いて(2)中央部(土踏まず)、(3)遠位部の3ヵ所が好発部位です(図)。特に起床時や練習開始時に痛みが出やすい傾向があります。機能面では下腿と踵骨軸のなすアライメント(heel-leg alignment)が回内(中央部の疼痛)か、回外(起始部の疼痛)かをチェックして補正しましょう。練習開始時には入念なストレッチを行ってからランニングをしましょう。  特に骨足底部内側の足底筋膜起始部は、脛骨神経の分枝である外側足底神経が介在していて、硬くなった筋膜に拘扼〈こうやく〉されたり、微小断裂のために圧痛、腫張が、時に硬結(しこり)が認められます。

label_27s_01

治療

急性期は局所の炎症を抑えることが先決です。なんといっても第1選択は、局所の休息(ランニング、ジャンプ練習の休止)です。消炎鎮痛内服薬、時にステロイド剤などの疼痛部位への局所注射を行いますが、頻回に行うことは避けるべきです。足底部へ直接的、あるいは間接的(下腿などへ)に低周波、干渉波、低出力レーザーなどの物理療法を行い、痛みを和らげます。スポーツ現場では、テーピングや足底板使用などによって足底部のアーチ形態を機能的、解剖的に補正して、ショックを和らげます。  保存療法に難渋して踵骨付着部の骨棘〈こつきょく〉による疼痛が強い場合は、骨棘の骨切除術を行う場合もあります。急性期におけるトレーニングの基本は、やはり非荷重運動を行うことです。リハビリ初期にはプール歩行やエアロバイクを積極的に取り入れましょう。

原因と対処方法

足底筋膜炎の原因は、トレーニング量の増加や体重の増加による足底筋膜への負担の増加(オーバーユース)が主なものですが、扁平足やハイアーチ、回内足、足底の筋力や柔軟性の低下などもその原因となります。 症状が悪化すると手術が必要となる場合もありますので、適切な対応が必要です。マラソンの有森裕子選手が、足底筋膜炎により両足を手術したというのは有名な話です。 足底筋膜炎の対処方法として、足底に負担のかかるトレーニングを一時中断しなければならない場合があります。ドクターに診断してもらってトレーニングの中止か軽減か、そして復帰の時期などを相談していただきたいと思います。炎症や痛みがある間はアイシングを十分に行いましょう。 ランニングを一時中断する必要がある場合は、プールでのトレーニングや自転車など足底に負担がかからないもので心肺持久力の低下を防ぎます。泳ぐことができない選手には、浮き具を利用した水中のランニングが、足には水の抵抗のみの負担となるため有効です(写真1)。身体を斜めにして足をプールの底につけずに、ランニングと同じ動作をします。足の裏で水をとらえて前に進みます。


予防&再発予防エクササイズ

まずは足底筋膜に影響する筋群のリラクゼーションを目的として、ストレッチングを行います。下腿や足趾(足の指)の屈筋群のストレッチング(写真2)が中心となりますが、大腿部の疲労蓄積が下腿や足底への負担を増加させている場合があります。したがって、全身のストレッチングをしっかりと行い、特に疲労している部位をさらに入念に行うようにしましょう。 竹踏みやゴルフボールを利用したマッサージも有効です。竹踏みは洗面台の前などに置き、歯磨きのときには必ず行うようにします。ゴルフボールを使ったマッサージは、足の裏にゴルフボールを置き、軽く踏みつけながら前後左右に転がすようにします。足底に問題がなくても毎日行う癖をつけるとよいでしょう。 足底の筋力低下はアーチの低下を招きますので、筋力の強化が必要となります。まずは負荷をまったくかけない状態で、足趾を自由自在に動かすことができるようにします。足の指で「じゃんけん」を行うように動かします。特に左右に大きく開く「パー」の動作は意識して行うようにしましょう(写真3)。 次に、タオルやチューブを利用したエクササイズを行います。タオルを足趾でたぐり寄せるようにします(写真4)。最初はタオルだけで行い、症状の改善具合によりタオルの端に水を入れたペットボトルなどを置いて、負荷を上げていきます。 チューブエクササイズは底屈、背屈だけでなく、小指を内側の下に向ける動作(内反、底屈)や小指を外側から上に上げる動作(外反、背屈)のエクササイズ(写真5、6)を行うようにし、アーチを補助するための筋力向上を狙います。 さらに、安定した筋力発揮のために、バランスボードやバランスディスク(写真7)などを用いたエクササイズを行います。バランスディスクのエクササイズでは膝関節、足関節を軽く曲げて、踏みつけるような力を加えて行い、足関節を安定させようとする筋肉を活性化させます。 シューズや床、地面など、環境面にも考慮する必要があります。できるだけ芝や土のコースを走るようにします。 ドクターからGOサインが出たら競技復帰となりますが、その場合は足底板やアーチを補助するテーピングなどを用いると再発予防となります。足底板は専門家に作成してもらいましょう。 冬の時期は、球技の競技者は特に走り込みを行うケースが多くなると思います。ランニングトレーニングを行う際は球技用のシューズではなく、ランニングシューズを利用するようにしてください。特に、アスファルトを走る競技者は注意が必要です。 砂の上を裸足〈はだし〉で走ることは足趾をよく使いますので、競技力向上のためにも短い時間で結構ですので、取り入れてみてください。

label_27s_02

痛みを感じたり、故障が発生したら、すぐに医師の診察を受けることをおすすめします。

疲労対策ハンドブック

疲労への対処法や解決法をわかりやすく解説!
「疲労対策 ハンドブック」

PDFダウンロード

足底アーチのサポートケア用の商品をご紹介

商品リストはこちらから