鉄人に聞け!膝内側側副靱帯(MCL)損傷

症例解説Body & injury

Knee

膝内側側副靱帯(MCL)損傷Medial collateral ligament injury

  • 原因や治し方(医療編)
  • 予防や対処法(トレーナー編)
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はじめに

膝内側側副靱帯(以下MCL)は、膝靱帯損傷のうちで最も頻度が高く、単に膝の捻挫として取り扱われることが多い障害です。初期に適切な固定をすれば修復しやすいものですが、陳旧化(急性期に処置をせず伸びた状態)した場合は、有効な治療法が少ないので受傷時の取り扱いは慎重を期します。


解剖

MCLは浅層、深層、後斜靱帯の3層構造となっていて、長さ10cm、幅3cmの範囲で膝関節内側部の大腿骨内上顆から脛骨内側部にかけて走行しています。


受傷原因

ラグビーやアメリカンフットボールなどのコンタクトスポーツでは、膝外側→内側への外力(タックル)により、関節に外反、または外旋力が強制されたときにMCLは過緊張して、最終的には断裂しやすくなります。スキーでの転倒時、ジャンプ着地時、ツイスト時などでも発生します。


症状

内側関節部に一致した圧痛、腫張、熱感、荷重にて外反動揺性が認められます。受傷直後は関節血腫が、慢性化すると水腫が存在します。
 一般に損傷は、以下の3型に分類して治療方針に活用します。
I度:動揺性(健側と比較して)はなく、靱帯部の圧痛が主である
II度:伸展位の外反動揺性(-)、30°屈曲位で外反動揺性(+)
III度:伸展位の外反動揺性(+)、30°屈曲位で外反動揺性(+)


治療

I度はRICE療法を、II度は固定による保存療法が一般的です。消炎鎮痛薬の使用、超音波、低周波などの物理療法による疼痛対策を行います。  III度損傷や前十字靱帯(ACL)や半月板損傷合併例は、靱帯の一次縫合手術を行いますが、単独損傷例ではギプス固定や、最近では装具固定による保存療法も用いられ、良好な成績を挙げています。


合併損傷

単独損傷が多いものの、ACL、後十字靱帯(PCL)損傷や、内側(外側)半月板損傷を合併します。ACL+MCL+内側半月板の損傷合併例をUnhappy trias(不幸の三徴)ともいいます。


検査

レントゲンは骨折の有無確認が目的であり、損傷の程度はストレスレントゲン(写真1)や器械によるチェックが有用です。MRI検査は最も有用で、MCL損傷のみならずACL、半月板、出血などの確認が可能です。

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受傷後のリハビリテーション

初期はアイソメトリックにSLR訓練、膝周辺の屈伸筋同時収縮訓練を主に、腱側や体幹上肢のトレーニングを行います。
 受傷3週以降で疼痛は軽減してくるので装具装着下で、徐々に膝関節のROM、歩行訓練を開始します。


予後

単独損傷では、初期に適切な固定を行った場合は比較的安定しますが、ACL損傷を合併している場合は緩みやすくなります。MCLが緩むと、のちに半月板損傷を併発しやすくなります。


ポイント

受傷時に損傷程度を把握した正確な診断と、適切な固定を行うことが重要です。

膝内側側副靱帯は、膝関節の内側に位置していて大腿骨と脛骨をつないでいる靱帯です。現場では、アラインメントがニーインの状態になっている選手が受傷しやすいといわれています。

受傷機転と現場の対処

ドクター編にも書かれているように、膝関節への外側からの強い外力により関節が強制的に外反されたときに受傷するケースが多く、選手は「膝が内側に入った」と表現します。その時点で、明らかな変形、腫脹、変色、熱感があるような場合は、アイシング、副木などの処置をしてMRIなどの施設がある医療機関に移送しましょう。見た目に異常がない場合でも、膝下が明らかに外にぶれる(外反ストレステストが陽性、写真2)場合は、即、病院で受診してください。  捻った感じがして、しばらくうずくまっていた選手でも、中には大丈夫だといって練習や試合に復帰してしまうことがあります。その際は、テーピングなどの措置をした上で、本当に練習ができるかどうか、きちんと再開テスト(後述)をしてください。

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テーピングや装具について

種目によっては、テーピングや装具の使用について制限がありますので確認が必要です。一般的には、内側側副靱帯の走行を意識したテーピングを行います。実際には、靱帯は小さい割に強力な結合組織ですから、テーピングを利用する場合には、強度を上げるためにいくつかの工夫が必要です。  装具は、サイドにワイヤーやヒンジが入ったタイプのものが安定しています。ジョイント式のヒンジが入ったもののほうが、膝関節の屈伸を妨げないので選手には好まれているようです。


再開テスト

再開は、「ドクターストップの解除」を大前提として下さい。膝関節の再開テストでは、テーピングなどの再発予防措置をしてから、(1)片足閉眼立ち、(2)その場ジャンプ、(3)片足ホップ、などをします。それがクリアできるようであれば、グラウンドや体育館などに出て、(4)ダッシュ、(5)サイドステップ、(6)方向転換、ができるかをテストします。さらに種目やレベル、選手のポジションなどに応じた動きを監督やコーチとともにチェックして、最終的に練習や試合に戻り、プレーを再開すべきかを判断してください。


リコンディショニング

受傷直後のリハビリテーションは、ドクターや理学療法士の指示に従いましょう。スポーツの現場に出てからも、基本的なメニューは継続しながら、実際の動きに近いトレーニングを処方します。病院では、SLRをはじめPNFやアイソキネティックスなどで周囲の筋肉の筋力強化が行われます。

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痛みを感じたり、故障が発生したら、すぐに医師の診察を受けることをおすすめします。

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