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冬期トレーニングが始まってから、だんだん脛〈すね〉が痛くなってきました。周りにも同じところを痛がっている選手がいて、一番ひどい選手は病院でシンスプリントだといわれたそうです。シンスプリントは新人病で5月に多いと聞いたことがあるのですが、冬にも起こるものなのでしょうか。 |
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運動量の急増によるシンスプリント(過労によって生じる、向こう脛の痛みの総称)である可能性が高いでしょう。これらの選手の場合、上記の質問以外に以下のような特徴があるのではないでしょうか。
| 1. |
秋のシーズンが終わり、本格的な冬期トレーニングを開始して2ヵ月目。 |
| 2. |
練習量、練習時間がシーズン中よりかなり増えた。坂道でのダッシュも行っている。 |
| 3. |
日没が早くて寒いので、練習後あまりクールダウンをしないですぐに帰ってしまう。 |
| 4. |
したがって、ストレッチングもあまりしていない。 |
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アイシングは試したが、効かなかったのでもうしていない。
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シンスプリントは陸上競技選手によくみられるスポーツ障害です。新人選手が入学してしばらくしてからよく起こすので、陸上競技の五月病ともいわれています。今回のケースも時期は異なりますが、基本的な原因は「練習量の急激な増加」だと考えられます。
また、アスファルトの上での坂道ダッシュなどは、シーズン中にはほとんどやっていなかったようです。気候の変化もあって新陳代謝も違っているわけですから、「練習環境の変化」も要因として加わってきます。
対策としては、監督やキャプテンと相談の上、身体を順応させるためにも、練習量において身体にかかる負荷を徐々に増やしていくような工夫が必要です。チームで同じメニューを行っている場合には難しいかもしれませんが、本当に耐えられない痛みのシンスプリント、あるいは疲労骨折になってしまってからでは遅すぎます。
また、暗くて寒いからといって、クールダウンをないがしろにするのは感心しません。ストレッチングは、帰宅してからでもやったほうが、やらないよりはずっとよいはずです。 |

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同じ練習で、特定の人たちだけがなるケースもあります。その場合、(1)形態的な特徴(アライメント)、(2)動きの特徴(バイオメカニクス)、(3)使用器具やシューズの特徴、などが原因として考えられます。トレーナーとしては、それらの特徴を分析して細かな対策を練る必要があります。
形態的な特徴としては、脛の曲がり具合や土踏まずの高さなどが挙げられます。脛(脛骨〈けいこつ〉)は、下方3分の1くらいのところで若干カーブしていますが、この曲がり具合が、人によってかなり違います。もちろん脛骨そのものの長さや、太さの違いなどもチェックします。土踏まずの特徴は、次の動きの特徴とも複雑に絡んでくるのですが、やっぱり落ちている人のほうが、よりシンスプリントの症状に悩まされています。
次に動きの特徴ですが、着地直後に脛骨が内旋する人がシンスプリントを起こしやすい傾向があります。これは土踏まずが落ちている人、足関節が柔らかすぎる人、X(エックス)脚の人などにその傾向がみられ、わずかに膝が内側に入っている人もシンスプリントになっている例があるようです。こうした傾向をもつ人は、動きのなかで脛骨が内旋を起こす際に、ある1点にだけ強い負担がかかり、金属疲労と同じようなメカニズムで骨を痛めてしまうのです。
シューズがシンスプリントの原因に、逆に予防のキーになることもあります。特に裸足で歩くことが少なくなった今、幼少の頃からクッション性の高い靴を履き、その衝撃吸収力に自分の体重をすべてゆだねる習慣がついている選手も少なくありません。また、足趾〈そくし〉を使わずベタベタと歩いていて土踏まずが落ちてくると、中敷きでサポートしないと、疲れやすくシンスプリントになりやすいケースも出てきます。 |

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さて、さまざまな特徴を述べてきましたが、対策としては、姿勢の矯正、動き(フォーム)の改善、そして使用するシューズを自分のニーズに合わせること、以上のことを心がければよいわけです。
立っているときには、お尻の筋肉にやや力を入れるような感じで膝を少し外に向け、土踏まずの真ん中の部分をもち上げてアーチをつくるようにイメージしてください。そうすると、脚全体がきれいでまっすぐなラインに見えてくるはずです(アライメントのチェック)。
歩いているときや走っているときには、接地している間に足首が入りすぎて回内していないかをチェックします。人によっては1本のライン上を走るよりは、左右の足が別々のライン上を走るようにしないと足首が入りすぎる人もいます。個人個人で、それらのラインがどれくらい離れるべきかを研究してみてください(動作のチェック)。
さらに、最初に述べた練習環境のチェックと、身体の順応のスピードと個人の特異性に合わせた練習メニューを組むようにすると、シンスプリントの痛みからかなり解放されるのではないでしょうか。
正しいウォームアップとクールダウン、ストレッチング、そしてアイシングには即効性はありません。しかし、シンスプリントは、捻挫や骨折のように瞬間的に受傷するケガではなく、時間をかけて徐々に発症するので、治療やコンディショニングも根気よく続けてほしいものです。それでも、どうしても駄目なときには、骨シンチグラフィーという装置をもっているスポーツ整形医を受診してください。 |

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| (岩崎由純:NEC女子バレーボール部ヘッドトレーナー、JATO副会長) |