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前十字靱帯(ACL)断裂は、スポーツ障害のなかで最も重症度が高く、選手生命を左右することがあります。診断は決して容易ではなく、手術法を選択しても予後は必ずしも良好といえず、経過が長期化して治療に難渋する場合もあります。 |

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ACLの走行は、膝関節内で大腿骨側外側部から脛骨側内側に2束が一体になっています。ACLの機能はスポーツ活動において、ジャンプ、着地、ダッシュ、ストップ、カット、ツイスト(ピボット)などの動作で発揮されます。膝関節の下腿前方移動と下腿の内旋動揺性(捻り)や、特にピボット時の膝関節を安定させるストッパー役です。
膝関節内に存在するため、他部位からの側副血行が乏しく断裂すると、縫合しても血流が途絶したままで再接着しにくいのが特徴です。そのため、手術は靱帯再建術(移植術)が主流となっています。 |

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膝にタックルするコンタクトスポーツに発生しやすく、時にノンコンタクトスポーツのジャンプ着地時や膝のピボット強制、床面でのスリップ時などに自損事故的に発症します。 |

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アメリカンフットボール、ラグビー(外・後方側からのタックル時など)、スキー、スノーボード(ボードが固定されて膝に回旋が強制される)、柔道、バスケットボール(ジャンプの着地時に人がぶつかってくる)、バレーボール(スリップによる自損)などが挙げられます。実際には膝上のタックルか、膝下か、足が固定されていたかどうかで、靱帯の損傷部位は変化します。 |

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急性期:外傷により突然発症する痛み、膝関節運動の障害、関節の腫張や血腫、膝崩れ現象(Giving way、足を着いたとき、膝にガクッと力が入らず崩れる)が出現します。2〜3週しても痛みが継続する場合は、半月板損傷の合併を疑います。 |

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徒手検査では前方引出し現象、ラックマンテスト(膝約20度屈曲位)、ピボットシフトテスト(Nテスト)が陽性です。MRI検査は最も有用であり、ACLのみならずほかの靱帯、半月板、血腫、骨損傷なども把握できます。最近では機械を用いて膝の動揺性をチェックできます。
レントゲンは骨折有無の確認に有用ですが、靱帯は写りません。また、関節鏡(内視鏡)検査は最も確実な診断が得られますが、皮膚切開、麻酔など手術手技に準じた侵襲があります。ACL単独での損傷例は少なく、内側側副靱帯損傷や半月板損傷を合併している場合が多いのが特徴です。 |

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原則的には、青年期のアスリートでハイレベルのスポーツ活動を維持する場合は、ACL再建手術が必要です。最近の手術は自分の腱(半腱様腱や骨付き膝蓋腱など)を移植する方法が主流で、保存療法にはギプスや装具で初期より固定する方法があります。
保存療法はACL自体の機能回復は難しく、治療目的はADL(日常生活動作)回復、膝周辺の筋力維持、強化、競技パフォーマンスの維持であることをご理解ください。受傷初期は膝関節の固定、徹底したアイシングを行います。 |

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トレーニング中のチェック項目は以下のとおりです。
(1)日常生活で膝がガクッとする膝崩れ現象がないか、(2)ランニングが可能か、(3)階段昇降が可能か、(4)両足ジャンプが可能か、(5)ダッシュが可能か、(6)片足ジャンプが可能か、を判断してください。
運動やスキー中に再び膝崩れが起こらないか、もし起こる場合は、手術治療を考慮して膝の再検査を受けてください。半月板損傷、関節軟骨損傷が合併している危険性があります。 |

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(1)術後2〜3週(保存的な場合は受傷後)から、装具装着下で全荷重歩行を開始します。SLR、水中歩行、バタ足、クロール、平泳ぎ、エアロバイクなど、体重負荷が少ないものから始めます。
(2)以上で膝痛や腫れがないことが確認できたら、ランニング、両足踏み切りジャンプ、カーフレイズ、マシンではレッグエクステンション、レッグカール、非荷重で下肢の協調運動(股関節屈曲、膝関節屈曲、足関節背屈→伸展、伸展、底屈)など、次第に膝関節への負担のかかる動作を練習します。
(3)最後に、ハーフスクワット、バランスボード(不安定板)、スライディング(スケーティング)、カーフレイズ、トランポリンなどを用いて膝周辺のバランス感覚を再教育します。
(4)以上で問題がなければ、活動性の高いスポーツを徐々に行ってください。ただし、各々に月単位でのトレーニング期間を要します。 |

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スポーツ競技復帰はさまざまですが、早くて6ヵ月、一般的には8ヵ月以上を要します。 |

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| (林光俊)
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